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コラム

№153 労働時間や割増賃金を計算する際の端数処理にはご注意を

カテゴリー:勝手に経営診断

2022年06月17日 10時09分

某飲食チェーンにおいて、これまで5分単位で計算していたパートやアルバイトの賃金を、この7月から1分単位で計算して支払う方法に変更するとの報道が、先日ありました。また、今年6月末までの2年間分を1分単位で計算し直し、これまで切り捨ててきた5分未満分の賃金に対する差額も支払うそうで、対象となる約9万人の従業員への支払いとして概算で16億~17億円を見込んでいるとのことです。

こうして改善されるのはよいことですが、そもそも1日の労働時間の計算において、その端数を切り捨てることはできないのです。毎日の労働時間を1分単位で管理するのが大変だからと、例えば15分単位で計算するといったことは、労働基準法違反とされる可能性が高くなります。

 

労働時間の計算において端数処理ができるのは、「1カ月における時間外労働、休日労働、深夜業の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるケース」です。あくまで1カ月単位での端数処理であって、上記のような1日単位での端数処理ではないことに、注意しましょう。

ちなみに、労働時間ではなく割増賃金の計算時において認められている端数処理は、次のとおりです。

・1時間当たりの賃金額や割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること

・1カ月における時間外労働、休日労働、深夜業の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること

こうして計算した1カ月の賃金支払い額(必要な控除等を行った後の額)に100円未満の端数が生じた場合は、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことができるとされています。

労働時間や割増賃金を計算する際の端数処理の方法には、注意しましょう。

 

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