コラム
№175 在宅勤務手当も、割増賃金の算定基礎から除外可能になったのですか??
カテゴリー:勝手に経営診断
2024年05月20日 11時50分
「1 時間当たりの賃金額×時間外・休日・深夜労働を行わせた時間数×割増賃金率」で計算する割増賃金の基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる 1 時間当たりの賃金額です。いわゆる月給制であれば、各種の手当も含めた月給を 1 カ月の所定労働時間で割って、1 時間当たりの賃金額を算出します。
一方、労働とは直接関係が薄く、個人的事情を基に支給されているようなものは、この「基礎となる賃金」から除外できます。それが、「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われた賃金」「1 カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」です。これらに該当しないものは、すべて割増賃金の基礎となる賃金になります。
…と、除外できるものは、これまでこれら 7 つの手当に限られていましたが、事業経営のために必要な実費を弁償するものとして支給されている「在宅勤務手当」も、割増賃金の基礎となる賃金への算入を要しないことになりました(厚生労働省の通達によるもの)。
実費弁償に該当し得るものとしては、事務用品等の購入費用や電話料金・インターネットの接続に係る通信料、電気料金、レンタルオフィスの利用料金などが考えられるでしょう。
ただ、あくまで「実費弁償」に該当するものになりますので、たとえば会社が従業員に対して毎月 5,000 円を渡し切りで支給するようなものは実費弁償に該当せず、これまで同様に割増賃金の基礎に算入すべきものとなります。
また、常態として在宅勤務手当の額が実費額を上回っているような場合は“実費弁償分”とは言えないことから、この上回った額は割増賃金の基礎に算入すべきものとなります。したがって、実費弁償分と言えるためには、在宅勤務の実態を踏まえた合理的・客観的な計算方法を就業規則等で明示し、これにより精算されるものであることが必要です。
なお、これまで割増賃金の基礎に算入していた在宅勤務手当(実費弁償に該当するもの)が新たに割増賃金の基礎に算入しないことになれば、従業員に支払われる割増賃金額が減少することとなり労働条件の不利益変更に当たると考えられるため、この場合は法令等で定められた手続き等を遵守し、労使間の事前の十分な話い合いなども必要になります。
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